ピアスとハンカチ②

ハンカチの続き。


彼から返してもらったハンカチを、

私はしばらく使わないでいた。


その内、ある本番があった。

本番では、お気に入りのハンカチをお守りにする。


彼とはまだ付き合ってなかったし、

仲良しだったけど、特別な感情は無かった。

けど、頼りになる彼の顔がよぎって、

この日のお守りは、彼が洗ってくれたハンカチにすることにした。

なんか、そんな気分だった。



さらにその後日、彼と仕事が一緒だった。

彼から、

「ぼく、匂いとか気になるんですけど、

あのハンカチ、柔軟剤の匂いとか大丈夫でした?」

と、聞かれた。

「え、あー、全然大丈夫。うちと同じような匂いがしたよ」


「よかった。」

「実は、あれ、洗うの大変だったんですよ…」


明らかに、女物のハンカチを、

お嫁さんの前に出せなくて、自分で洗ったらしい。

でも、女性のハンカチをどう洗ったらいいのか分からなくて、

柔軟剤とか迷ったんだ、とか…。

そして、お嫁さんの居ないときを見計らって、

私のハンカチ1枚だけで、洗濯機を回したらしい…。

なんて贅沢なハンカチ!


それ聞いたとき、大笑いしたけど、

と、同時に、

やっぱりお守りにしてよかったな…って思った。


でも、お酒こぼしたら、

ハンカチ貸してくれたって、お嫁さんに言えないものかしらね…


つづく